「リスニング問題、全然聞き取れなかったと思ってスクリプトを見たら、全部知ってる単語だった…」
そんな経験ありませんか?
知っている単語なのに、どうしてリスニングになると聞き取る事が難しくなるのでしょうか?
そこには、英語が音声の変化を起こすという性質が深く関わってきます。
音声の変化については、学校で一応教えてはくれるものの、学校英語において発音については深く問われないこともありほとんどの人が忘れてしまっています。
さらに、TOEICスコア800以上であったり、英検準1級を保持しているような上級者ですら、マスターしている人は限られてきます。
しかしそんな上級者たちでもマスターしている人が少ない音声変化も、しっかりと意識して練習すれば、身につけるのはさほど難しいことではありません。
そして音声変化を身につける事で、リスニング力の飛躍的な向上、ナチュラルでネイティブにしっかりと伝わる発音が出来るようになります。
この記事では、そんな英語の音声変化の具体的な法則や、音声変化を身につけるための具体的な勉強法についてまとめました。
この記事を読み終わる頃には、英語の音声変化を身につけることによって、なぜ英語力が飛躍的に向上するのか、音声変化を身につけるために具体的に何をすれば良いのかがわかりますので、ぜひ最後まで読んでみてくださいね。
目次
英語の音声変化とは?
英語の音声変化とは、隣り合う英文字同士が一定の法則に基づいて作用して、文字通りの発音から音が変化する事を言います。
と、文字にしても伝わりにくいかと思いますので、具体的な例を挙げてみましょうか。
例えば、頭の中で次の文章を復唱してみてください。
「I want to talk with you.」
いかがでしょうか?
どんな風に、この文章が発音されましたか?
この一文を、文字の通りに読んだとするならば
「アイ ウォント トゥ トーク ウィズ ユー」
と発音されるでしょう。
しかし、発音に自信のある方の頭の中では
「アイ ウォントゥ トーク ウィジュー」
と発音されたのではないでしょうか?
これが音声変化です。
I want to talk with you.
マーカー部分が連結して一つの音に変化している事がわかりますよね?
これは音声変化の中の「連結(リンキング)」「消失(リダクション)」という法則が作用して、このように音声の変化が起こっています。
ウィズ ユー → ウィジュー(thとyが連結〈リンキング〉)
英語の音声変化は、「連結(リンキング)」以外にもいくつか法則があります。
②音の消失(リダクション)
③Tの音→Lの音に変化(フラップ)
④弱形(発音の強弱)
順番を追ってお伝えしていきますね。
リスニング力だけじゃない?身につけるメリットはこれだ!
英語の音声変化を身につけると、以下のメリットを得ることが出来ます。
- リスニング力の向上
- 発音、スピーキング力の向上
- 英単語、英熟語学習の効率化
- スペルミスの減少によるライティング力への貢献
しかしこれにも根拠があります。
順にお伝えしていきますね。
リスニング力の向上
「知っている単語だったのに、全然聞き取れなかったー!」
という事態を格段に減らすことが出来ます。
例えば、前項「英語の音声変化とは?」で挙げた例でいう
「I want to talk with you.」について、全ての単語を知っていたとしても、「Want to」が「ウォントゥ」、「With you」が「ウィジュー」に変化することを知らないと、WantとTo、Withとyouを独立してとらえることができません。
対して、英語の音声変化の法則が身についていると
「あ、今のはThとYが連結したからWith youだな」
「今のはtが重なったからWantとtoなんだな」
と、それぞれ認知することが出来るようになります。
こうした感覚を意識しなくても自然に出来る事になる(※音声知覚の自動化を行う)事によって、英文を素早く正確に聞き取る事が出来るようになっていきます。
発音、スピーキング力の向上
英語の音声変化を身につければ、自分が英語を話す際も、ナチュラルでカッコいい、ネイティブにしっかりと伝わる発音で話す事が出来るようになります。
また発音がナチュラルになると、ネイティブに近いスピードとイントネーションに一気にグッと近づきます。
特にこの「よりネイティブに近いイントネーション」というのが非常に重要です。
実は、しっかりとした英語らしい発音と同じくらい、英語らしいイントネーションが出来ていると、ネイティブスピーカーにとって聞き取りやすくなるようです。
日本人目線から見ても、外国人の話す日本語を聞いている時に、発音と同じくらいイントネーションが伝わりやすさに影響を及ぼしているのがわかるかと思います。
なんなら、日本人でも滑舌が良くない人の言葉もなんとなく聞き取れるのは、日本語のリズムやイントネーションで文章を推測出来るからですね。
以上の事から、英語の音声変化を身につける事で発音が滑らかになり、その結果ネイティブスピーカーのスピードとイントネーションに近づくことによって、飛躍的にスピーキング力が上昇するという事が出来ます。
英単語、英熟語学習の効率化
「リスニングやスピーキングはともかく、どうして英単語の勉強にも効果があるの?」
と思うかもしれませんね。
これには根拠が2つあります。
- 視覚だけでなく聴覚も使う事で効率的に記憶出来る
- スペルと音のイメージが結びつく
例えば単語帳を使って英単語を覚える時に、黙読をして単語を「視覚で」覚えている人は非常に多いと思います。(受験生時代の僕がそうでした笑)
また音読するにしても、発音を意識しない音読だと、例えば「Read」を「リード」としか認識できないため、「Lead」と「Read」を混同しやすくなってしまいますよね。
しかし、英語の音声変化を学び、より正確な発音を意識出来ることによって「Read」を「Read」として学び、自然と「Lead」と区別する事が出来るということですね。
この「単語同士の混乱」がグッと減る事によって、単語の記憶が非常に効率的になります。
また、スペルと音のイメージがしっかりと結びつくことで、英単語のスペルを見た時点で脳内に音声が流れるようになります。
そうなることで、視覚だけでなく聴覚でも単語をイメージ出来るようになるので、とても記憶の定着がスムーズになりますよ。
スペルミスの減少によるライティング力への貢献
上述した「スペルと音とのリンク」によるスペルの混乱が減る事で、ライティングでのスペルミスも減少します。
英語の音声変化を意識出来るようになると、聞こえてくる英語の発音からスペルを推測出来るようになります。
つまり英語に触れている時間のうちスペルを意識する機会がグッと増えるわけです。
そうすることにより、リーディングやリスニングの勉強をしている時も、自然にスペルに意識が向かうようになり、結果スペルミスが減るという事ですね。
英語力を飛躍的に上昇させる、4つの法則
英語の音声変化の法則には、大きく分けて4つに分類されます。
②音の消失(リダクション)
③Tの音→Lの音に変化(フラップ)
④弱形(発音の強弱)
野球やテニスのスイングのフォームについて
「インパクト時に体重を乗せる」
「スイング時に力まない」
というようなコツについて、丸暗記をして上手くなるわけではありませんよね?
それと同じで、後述する英語の音声変化の法則を身につけるためのトレーニングを行いながら、定期的に自分の発音と照らし合わせてみるのが一番効率が良いでしょう。
何度も見返す事になると思うので、この記事をブックマークして定期的に確認するのも良いでしょう。
①音の連結(リンキング)
英語の音声変化の中で、一番意識しやすく実践しやすいのが、この音の連結(リンキング)です。
冒頭「英語の音声変化とは?」の項で例に挙げた
「I want to talk with you.」
などがそうですね。
このように、単語の末尾の音と、その次の単語の頭の音が結びついて変化するのを「音の連結(リンキング)」と呼びます。
いくつか例を挙げてみましょうか。
・Can I~?→キャナイ~?
・Take it→テイキッ
(母音についてはYも含まれます。)
英語が得意じゃない日本人でも、Thank youを当然のように「サンキュー」と言ったりしていますよね?
その感覚で自然に意識出来るようになりましょう。
②音の消失(リダクション)
冒頭「英語の音声変化とは?」の項で例に挙げた
「I want to talk with you.」
tが一つ消失して「ウォントゥ」という発音になっているのがわかりますね。
・Want to→ウォントゥ
・Take care→テイケァ
実際に上述の具体例のような、破裂音と子音が続く組み合わせを発音してみると、発音しにくいことがわかるかと思います。
その感覚で、自然と音が消失するようになっていくと、自然にネイティブに近い発音になっていきますよ。
③Tの音→Lの音に変化(フラップ) ※アメリカ英語に顕著 イギリス英語ではあまり見られない
Let it go→レリゴーという言い方は、ディズニー映画のFrozen(アナと雪の女王)で聞き馴染みがありますよね。
また、BeatlesのLet it beも「レリッビー」と聞こえますよね。
これはTの発音がLの発音に変化していることが見て取れますよね。
この不思議な現象はフラップ(フラップのT)と呼ばれ、以下のような時に起こります。
- Tが母音に挟まれている
- Tの先にくる母音にアクセントがついている
・Better→ベラー
・Got it→ガリッ
これをもっとスピーディに行うために、Tの舌の状態で力を抜いて発音すると、Lの発音に近くなるのがわかるかと思います。
スピーディに話そうとするアメリカ英語に見られ、イギリス英語寄りの英語ではあまり見られませんが、TOEICなどではよく使われているので、この感覚は養っておいて損はないでしょう。
④弱形(発音の強弱)
音楽のジャンルで、Rock ‘n’ roll(ロックンロール)という表記を見たことがあるのではないでしょうか?
これはRock and Rollのandの部分が省略されていることがわかりますね。
このようにandやbutなど、発音する上で省略しても文脈から推測できるものは「機能語」と呼ばれ、代名詞、接続詞、冠詞、前置詞などがその機能語にあたります。
この機能語は、一部の音が弱くなったり省略されます。
・I like him.→アイ ライキム(himのhが省略されている)
・I paid for the bill.→Forのrが省略され「フォザ…」という発音になる
具体的なトレーニング法は? このトレーニング法で、一歩上のリスニング力を効率的に身につけられる
前項の「英語力を飛躍的に上昇させる4つの法則」でも触れましたが、上述の4つの法則は決して「丸暗記したから完璧に使えるようになった」というようなものではありません。
4つの法則を意識に上げ、その上で自分の感覚に落とし込む必要があります。
それでは、具体的にはどのようにその感覚を養っていけば良いのでしょうか?
僕がオススメする3つのトレーニング方法についてお伝えしますね。
①ディクテーション
ディクテーションとは、リスニング音声を流し、聞こえた英文を書きとっていくというトレーニング方法です。
学校英語などで1度はやったことがあるのではないでしょうか?
ディクテーションの強みは、自分が聞き取って頭の中に思い描いた英文と、実際の英文とのギャップを可視化(見える化)出来るという点ですね。
自分が書きとった英文を見ながら、「あぁここはLだと思ったけど、フラップでTからLになってたんだな」とか「ここは聞き取れなかったけど、弱形でhimが<ィム>みたいに省略されてたんだな」といった具合です。
②オーバーラッピング
オーバーラッピング法とはリスニングスクリプト(台本)を見ながら、流れる音声に対して被せるように発音していくトレーニング方法です。
後述するシャドーイングと似たトレーニング方法で、シャドーイングの方が英語学習者の中で認知度が高いため、しっかりと区別しておきましょう。
シャドーイングとオーバーラッピングについて、両者についてわかりやすく実演している動画がありますので参考にしてみてください。↓↓
オーバーラッピングは、スクリプトを見ながら流れている音声についていく必要があるので、高い強制力をもってリスニング音声に自分の発音を寄せていく事が出来ます。
もちろん、モデルとなるリスニング音声には音声変化も含まれているので、リスニングスクリプトを見てスペルから音声をイメージする際に瞬時に音声変化を挟む必要があります。
なので、音声変化を身につける上でかなり強い力を持ったトレーニングと言う事が出来ます。
オーバーラッピングについては以下の記事で詳しくお伝えしていますのでぜひ参考にしてみてください。↓↓
③シャドーイング
上述のオーバーラッピングをさらに負荷を高めたのがシャドーイングです。
スクリプトを見ずに聞こえてきた音声をそのまま発話していくので、さらに高い強制力をもったトレーニング方法になります。
シャドーイングは多くの英語学習者や英会話スクールなどで勧められていて(僕も結構勧めてますし笑)、非常に効果の高いトレーニング方法ですが、いきなりシャドーイングから行うよりも、オーバーラッピングなどである程度慣れてから実践するのをオススメしています。
いきなり難易度の高いものから始めて挫折してしまうと、結構引きずってしまいがちですからね。
しかし、その分とても強力なトレーニング方法なので、自信のある方はぜひ実践したいところですね。
どんな教材でトレーニングすれば良い?オススメはこれだ!
①TOEICや英検など 目標の英語資格の過去問や模試のリスニング音声
英語を勉強する上で、TOEICのスコアアップや英検の合格を目標にして学習するは多いですよね。
英語の習得を目指す上で、目に見えたスコアアップや合格といった目標を立てるのは非常に効果的です。
というのも、スコアや点数によって「成果が目に見える形で(特に数字で)わかる」事が強いモチベーションに繋がるからですね。
TOEICや英検などの英語資格がリスニング音声で使うスクリプトは、カジュアル過ぎず専門的過ぎない実用的でキレイな英文と音声が使われます。
英語の音声変化を身につけるトレーニングに加えて、各英語資格の傾向把握にも繋がるので非常に効率が良いですね。
↑TOEIC対策の王道中の王道と言えば公式問題集です。TOEICを運営しているETSが監修する実際に用いられた過去問なので、再現度の高さ、問題の質、共に一番人気な過去問です。また、公式問題集が試験2回分の収録だったのに対し、上記の模試に関しては公式問題集よりも若干低い値段で3回分の模試を収録しているのでコストパフォーマンスが高いです。
初心者の方、数をこなしたい方にはこの2冊の模試がおすすめですね。
リスニング音声のCDは別売なのでそこだけ注意が必要ですね。
②TED
たくさんの英語学習者やプログリットなどのコーチング型の英会話スクールにも強く勧められるのがTEDです。
NHKの教育チャンネル(Eテレ)でも「スーパープレゼンテーション」という番組名で放送されてもいますね。
英語字幕、日本語字幕を簡単に切り替えられるので、スクリプトの用意や意味の把握にも全く困りません。
TEDでは、科学、医療、社会、テクノロジー、政治、経済、自己啓発など、社会的に権威のあるプレゼンターが、それぞれのジャンルについてプレゼンテーションを行います。
各ジャンルについて最新最先端の話題について話され、かつ専門的な内容もわかりやすくかみ砕いて説明されます。
とても各ジャンルについて勉強になりますし、「頑張って勉強している」という感覚ではなく、ユーモアも時おり混ぜて離されるので非常に楽しく聞くことが出来ます。
例えるなら、英語の長文問題が自分の興味ある分野についての研究結果だった時のような、読んだ後に充実感があるような感覚ですね笑。
また「英語を学ぶ」感覚とともに、「英語で専門分野を学ぶ」感覚も養われるので、英語でもっと世界を広く知りたいという方にはもってこいの学び方ですね。
参考までに、僕のおすすめの回を共有しておきます。
とっつきやすく、ライトで非常にユーモアがあるものなのでぜひ観てみてくださいね。
↓↓画面右下の吹き出しマークから、英語字幕や日本語字幕を付ける事ができますよ。
③自分の好きな海外ドラマや洋画
お好きな海外ドラマや洋画があれば、それを使わない手はありません。
いきなり字幕なしで洋画や海外ドラマを観るのはハードルが高いとはよく聞きますが、すでに内容を知っていて何度観ても楽しめる大好きな作品を使って英語力を高めるのであればその限りではありません。
お好きな海外ドラマや洋画に英語字幕をつけて、役者が演じる通りのイントネーションに、感情をのせて身振り手振りまでマネしてオーバーラッピングやシャドーイングを行うとなお効果が高いですよ。
僕なんかは、スター・ウォーズやパイレーツ・オブ・カリビアンでやっていましたし、ちょっと前にSUITSなんかが流行りましたよね。
「何度も観ても飽きない」「観れば観るほど楽しめる」というような、自分がしっかりと楽しめる作品で行うのがポイントですよ。
④電車、バスのアナウンスなど、日常の中にある色んな英語
電車やバスの「○○にお乗り換えの方は、こちらでお乗り換えください。」というアナウンスも、外国人向けに英語で復唱されますよね?
こうした日常の中で何度も聞くような英語も、耳を傾けて覚えてしまえば立派なリスニング音声とスクリプトになります。
意図しなくても何回も遭遇する英語ほど強い味方はありません。
これをやるだけでもかなり発音に意識が向かい、ナチュラルな発音が身について、自分の英語に自信がつきますよ。
【最後に】
この記事では、英語の音声変化について以下の点からお伝えしました。
・身につくとリスニングやスピーキングだけでなく、単語学習の効率化やスペルミスの低減にも繋がる
・具体的な変化の法則は4種類
・ディクテーション・シャドーイング・オーバーラッピングの際に意識することで効果的に身につく
シャドーイングやオーバーラッピングについては、より詳しく書いた専門記事がありますのでぜひ参考にしてくださいね。↓↓
0から上級レベルの英語を見に着ける勉強法をまとめた記事はこちら↓
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