もっと英語学習が快適、効果的になる視点「ゲシュタルト」とは?

前回は「どうして学習の目的や効果を意識すると、学習効率が上がるのか?」についてお伝えしましたね。

顕在意識と潜在意識、身体と脳の手動操縦モードと自動操縦モードについて理解を深めることで、より意識に上げるイメージが鮮明になり情報が濃密になることで、英語学習の成果はグッと上がります。

それは単語学習や文法学習、長文読解やリスニングなど、各英語学習の目的や英語力向上のメカニズムを意識する骨組みになるわけですが

今回はその「肉付け」になるようなイメージで、それぞれの英語学習の目的や英語力全体の見通しが立つようになります。

そうなることで、下記の事が期待出来るようになります。

  • 取り組んでいる学習と達成したい目標が一致しない事によるストレスが減り英語学習がとても快適になる
  • 英語学習の効果について理解が深まることで、意識に上がる情報が濃密になり効果が高まる

また、英語学習の枠を超えて「新しい事を学んで自分自身を常に高めていく」というもっと根本的な点でも役に立つ本質的な話なので、ぜひついてきてください!

目次

もっと英語学習が快適、効果的になる視点「ゲシュタルト」とは?

ゲシュタルトって何?

「ゲシュタルト」とは「全体性を持ったまとまり」のことで、「全体は必ずしも部分の総和では表せない」とする考え方のことです。

(出典:認知科学への招待)

これは「脳科学」「心理学」「認知科学」の権威である苫米地英人博士の著書「認知科学への招待」にて記載されている「ゲシュタルト」についての説明です。

もう少しかいつまんで説明すると、人間の脳は細胞の集まりだけれども、細胞が脳の形に集まっただけでは「脳」とは言えず、「その細胞同士が互いにネットワークを結んで初めて、脳として機能する」というようなイメージです。

このゲシュタルトという考え方は、英語の習得にも大きく通じる部分があります。

言語学には「統語論」と「意味論」という相反する考え方があり

統語論は「文章全体の意味があって初めて、単語などの部分が後から決まってくる」という考え方で

意味論は「細かい単語やフレーズを分析していくことで、全体の意味が後から決まってくる」という考え方です。

要するに、「全体と部分、どちらが軸になって文章の意味が決まるのか?」という点で対立した考え方があったわけです。

これについては幾度も議論され、ある分野では統語論に軍配が上がり、ある分野では意味論に軍配が上がったりしています。

そんなわけで、統語論と意味論について「どちらが正しい」というのは専門家の間でも議論の余地ありなわけですが、僕たちのように「英語を学ぶ者」としては「どちらが正しい」というのはさほど問題ではありません。

英語を学んだり、英語を読んだり聞いたりして「理解する」という視点で見れば、全体の意味も部分的な意味も、「どっちも大事」というのが重要になるわけですよね。

そこで役立ってくるのが、「ゲシュタルト」という考え方で、全体の意味も部分の意味も、ネットワークを持って初めて機能するという事が出来るわけです。

長文読解もひとつのゲシュタルト

統語論や意味論といった研究分野的なフィールドでお話したので、ちょっと難しく聞こえた方もいらっしゃるかもしれませんが、英語の「長文読解」で考えればしっくり来るかと思います。

長文読解に必要なスキルは大きく3つありますよね。

  1. 単熟語などのボキャブラリー
  2. 英文法知識
  3. 英文解釈力(英文の読解力)

英単語や熟語が全てわかったとしても、英文法知識が全くのゼロだった場合、正しく意味を理解することは不可能です。

I love you.のような単純な文章でも、IとYouどちらが主語なのか、そもそも主語や動詞などの英文法をとらえる力がゼロだった場合「私」と「愛する」と「あなた」の関係を結び付けることが出来ないわけです。

それと同じように、英文法知識がどれだけ豊富だったとしても、英単語の意味が全くわからなかったら、単語と単語の関係は分かったとしても、その英文の意味を理解することは出来ませんよね?

英文解釈力だって、どれだけ文構造と意味を応用する力があっても、土台となる単語力や文法知識がなければ英文解釈は成り立ちません。

そして英語の長文読解は、それら3つの要素が「同時に存在していたとしても、存在しているだけでは成り立たない」と言えます。

長文読解を演習して、単語力と文法力、そして英文解釈力がネットワークを結んで初めて「長文読解力=リーディングスキル」になるわけです。

以上のことから、長文読解は脳のようなゲシュタルト構造に非常に似ているという事が出来ますよね?

ゲシュタルト構造を理解するメリットとは?

英語の習得がゲシュタルト構造にとても似ている事がお伝え出来たでしょうか?

ゲシュタルト構造を把握することは、英語学習の過程を鮮明にイメージすることに繋がります。

そして英語学習の過程を鮮明にイメージ出来るようになると、次のようなメリットが得られます。

ゲシュタルト構造を理解することで得られるメリット
  • 顕在意識に上げるイメージが鮮明になる
  • 学習が効率的になる
  • 他の事を学ぶor上達させることにも応用が利く
前回の配信でお伝えした「顕在意識に上げることで、潜在意識への書き込みを効率的にする」という内容を覚えていますか?

筋トレ中に「今腹筋を鍛えているから、腹筋を意識してトレーニングしよう」という意識で取り組むと成果が上がるのと同じように、英語学習においても学習する目的を意識することで成果が上がります。

そして、その意識に上げる情報量が濃密で鮮明なほど、より学習が効率的になるという事です。

また、ゲシュタルト構造を明確にイメージして英語学習に取り組むことで、他の分野を学習することにも応用が利くというメリットもあります。

人間の脳が、そもそもゲシュタルト構造を作り出す事で物事を理解しているわけですから、そのイメージを持って英語を習得すれば、他の分野の習得にもそれを応用してより効率的に学ぶ事が出来る事は言うまでもないですよね。

以上のことから、ゲシュタルト構造を意識することが

  • 顕在意識に上げるイメージが鮮明になる
  • 学習が効率的になる
  • 他の事を学ぶor上達させることにも応用が利く

というメリットを認めることが出来ます。

蓄積→同時進行が最強パターン

さて、ゲシュタルト構造という心理学の視点を混ぜてお伝えしてきましたが、具体的にどんな流れで英語学習を行っていけば良いのかをお伝えしていきましょう。

蓄積→同時進行が最強パターンなワケ

結論から言うと、見出しのタイトルにした通り、「知識を蓄積した上で同時進行する」というのが最強です。

お伝えした通り、英語力というのは単語をたくさん知っているだけでは上達は頭打ちになりますし、かと言って単語力などの基礎力が全く無い状態で長文読解演習ばかりしていても、ただしんどいだけです。

それはゲシュタルト構造から考えれば当然の事で、英単語のような「細胞」だけがあっても、ネットワークを結ばなければ本質的な英語力には結びつかないですし

かと言って、その細胞が無い状態でネットワークを結ぼうとしても、信号を受け取る細胞が存在していなかったらネットワークとして成り立ちません。

なので結局はどちらも両立してこその英語力なわけですが、最初から全部を並行して勉強するのはあまり現実的ではないですよね。

そこで、「蓄積→同時進行」のパターンを導入することがおすすめなわけです。

例えば、リーディングスキルの向上を目的として勉強する場合、単語の勉強(英語→日本語)と文法の勉強で単語知識と文法知識を目標の水準まで蓄積させて、その後問題演習を重ねる事で単語力と文法知識を同時に動員するという手法ですね。

イメージとしては、単語力や文法知識という細胞をしっかりと揃える事に集中して、ある水準まで揃って来てからネットワークを築くという感じです。

「基礎をしっかり整えてから演習に挑む」みたいな風に言ってしまえば決して変わった事は言っていないのですが、基礎(土台)と演習というニュアンスだとちょっとした落とし穴があります。

基礎(土台)と演習というニュアンスのワナ、ゲシュタルト構造のイメージのしやすさ

というのも、(僕がそうだったんですけど)基礎や土台という言われ方をするとキリが無くなってしまうんですよね。

要は、
「演習をやっていてもなかなか点数上がらないな…まだ基礎力が足りてないのでは?」
みたいな思考におちいりがちなんです。

実際、中級者レベル、例えばTOEICで600を狙っている段階なんかだと、「取るべき基礎的な問題を素早く確実に取る」という部分に焦点が当たりすぎて、「新しい単語」であるとか「今自分が出来ない事を出来るようにしにいく」という方面が非常に弱くなりがちなんですよね。

確かに、今現在自分が出来る事や基礎的な部分を固める姿勢は大切ではあるんですが、それを続けていても求める成果を得ることは出来ないです。

例えるなら
「英検2級に受かって、準1級に挑戦したいんですが、準1級は難易度が段違いだと聞くので2級で8割くらい取れるようになってから挑戦しようかと思います」みたいな感じですかね。

僕はこういう人に対して100%「準1級取りたいなら今の時点で準1級の勉強した方が良いですよ~~」と伝えます。

確かに2級の合格と準1級の合格には、求められる英語力にギャップはあります。

しかし、2級で高得点をたたき出すのに必要なスキルと準1級に合格するために必要なスキルは違いますし、2級レベルで抜け落ちていた英語力は準1級の勉強をしながら埋めていく事も可能です。

こうした発想って、「基礎や土台部分がしっかりしていないと、発展的な勉強に移行しても成果が出ないんじゃないか…?」みたいな恐怖感から来るものだと思うんです。

それに対して、「ゲシュタルト構造を構築していく事を前提に、細胞を取り揃えていく感覚」と「揃えた細胞をリンクさせてネットワークを築く感覚」のイメージの方が、自分の英語力の現状の把握や課題の発見も適切に行いやすいですよね。

要は、英語を身につけていく過程をより正確に、鮮明に思い浮かべることが出来ることで無駄に英語学習に迷うことが少なく快適に効果的に英語学習を進めることが出来るようになるということですね。

まとめ

今回は英語学習をより効率的に、より快適にするための「ゲシュタルト構造」についてお伝えしてきました。

文章を読んだ段階ではまだイメージがふわふわとしているかもしれませんが、英語学習をしながらゲシュタルト構造について意識に上げることで体感的にイメージが出来るようになってきます。

そして英語学習でこのイメージを持って上達させることが出来れば、英語学習だけでなくあなたが望む全ての事の上達に応用することも出来るようになります!

英語学習を通して、自分の人生の可能性を広げるためにとても役立つ内容なので、ぜひ英語学習をしながら何度もこのページに戻って来て自分の感覚に落とし込んでみてください!