TOEICのリスニング対策をする際に、かなり効果の高い勉強法としてよくシャドーイングを提示されるのではないでしょうか?
確かにシャドーイングはTOEICのリスニング力を高める上で非常に強力で効果的な勉強法のひとつです。
しかしTOEICの勉強を始めたばかりであったり、そもそも英語の勉強に不慣れであったりすると、シャドーイングに慣れるまでに時間がかかってしまって挫折してしまうことすらあります。
(大学1年生時代の僕の話でもあります笑)
そこで、シャドーイングほど知られていないけれど、シャドーイングよりも簡単に始められて、シャドーイングと同じくらい強い効果を実感できた「オーバーラッピング法」についてお伝えします!
シャドーイングに挫折した方、TOEICの勉強の初心者の方、中級者レベルを脱して上級レベルを目指したい方すべての役に立つ記事になっているのでぜひ最後まで読んでみてください。
目次
どんな勉強法なの?

シャドーイングについて
オーバーラッピング法のやり方については、シャドーイングと似ている部分が多いので先にシャドーイングについて言及しますね。
言葉で説明するよりも実際にシャドーイングをしている様子を見る方がイメージしやすいと思います。
とてもわかりやすく解説している動画がありますので、まずはこちらをご覧ください。↓↓
このように、シャドーイングとはリスニング音声を再生し、聞こえた英文を後から追うように自分の口から発話する…という勉強方法です。
リスニング力を鍛える上で非常に強制力が高く効果的な勉強方法ではあるのですが、TOEICの経験が浅い人や、英語の勉強が苦手な人が手を付けるには少し難易度が高いような感じもしますね。
リスニングセクションのPart1やPart2のような、短めの英文ならなんとかこなせそうな感じはしますが、Part3、Part4といった長い文章をぶっ続けでやるのは、慣れないうちは大変です。
僕自身も、大学1年生の時に同じ理由でリスニング対策に頭を悩ませていました。
そこで、試してみたのがオーバーラッピング法でした。
オーバーラッピング法のやり方は?
シャドーイングが音声の後についていくのに対して、オーバーラッピング法はリスニングスクリプト(台本)を見ながら、流れる音声に対して被せるように発音していきます。
シャドーイングとオーバーラッピングの違いについて簡単にわかりやすく解説した動画がありますのでそちらをご覧ください↓↓
このようにスクリプトを見ている分流れてくる音声を予測出来るので、シャドーイングに比べて難易度は低くとても継続して実践しやすいです。
また、シャドーイングにはないオーバーラッピング法ならではのメリットもあるんですよ!
TOEICにぶっ刺さりまくる理由!シャドーイングにはないメリットとは?
オーバーラッピング法はシャドーイングとよく似た勉強法ですが、シャドーイングでは得ることのできない独自のメリットがあります。
②スペル(つづり)と発音の関係を把握しやすい
③TOEICの頻出表現を把握しやすい
①とっつきやすくて続けやすい
スクリプトを見ずに音声を聞き取りながら瞬時に発話していくシャドーイングに比べて、ある程度英文を目で追っていけるオーバーラッピングの方がとっつきやすいと言えます。
また、スクリプトを見ることが出来る分詰まる頻度もシャドーイングほど頻繁ではなくなるので回転率が上がり、習得するまでのスパンが短くなるので成果を感じられやすい部分もありモチベーションの維持にもつながるので継続した学習に繋がりやすいです。
一見何気ない要素に思えますが、取っ掛かりやすくて継続しやすい学習法ほど英語学習にマッチした要素はありません。
現にシャドーイングから始めようとして挫折した僕が、このオーバーラッピング法に取り組んだ結果、上述の理由でかなりリスニング力、そして発音力に自信がついたので、身をもってこの要素の重要さを経験しています。
やっぱり始めやすくて続けやすいって一番大事です。
②スペル(つづり)と発音の関係を把握しやすい
オーバーラッピングはスクリプトを見ながら行うので、スクリプトを見ないで読み進めるシャドーイングに比べてつづりを見て実際の発音を意識しやすいです。
例えば、日本人が苦手としやすいLとRの発音についても、あらかじめスクリプトのスペルを見ておくことで「ここはLの舌で発音するんだな」「ここはRの舌で発音するんだな」と意識する事が出来ます。
それによって単語や熟語などのつづりと発音のイメージが脳内で結びつき、自分の発音力が飛躍的に改善されていきます。
ただ見よう見まねで真似するだけではなく、英単語のつづりやリエゾンを見て音のイメージが出来るようになるので、単語力やリーディング力が発音力とリスニング力とリンクします。
単語力とリーディング力が発音力とリスニング力にリンクすると、本質的な英語力に飛躍的に近づいていきますよ!
③TOEICの頻出表現を把握しやすい
音声を流しながら発話していくシャドーイングに対して、スクリプトを見ながら発話していくオーバーラッピングでは、スクリプト全体を把握しながら学習を進めやすいです。
シャドーイングは聞き取りながら発話していくので、流れている音声の聞き取りと、流れた音声の発話を同時にこなすので、どうしても「今流れている音声」の部分に集中しがちです。
感覚的な話になりますが、なんとなく「あぁ、TOEICのリスニングってこのパターン多いよな」みたいな感覚が身につきます。
そしてその感覚が身につくと、実際のTOEICのリスニング問題を解いている最中も「あー、この話の流れだったらこんな感じだろうなぁ」みたいな(※)メタ視点を持つ事が出来るようになるので、解くのがとても楽になっていきますよ。
以上3つの理由から、オーバーラッピング法は、TOEICにぶっ刺さりまくる非常に効率の良い勉強法だという事ができますね。
オーバーラッピングだけで4技能を同時に鍛えられちゃう驚きの効果がこれだ!
オーバーラッピングを行うことで、具体的にはどんな効果があるのでしょうか?
シャドーイングと同様、オーバーラッピングもメインの目的としてはリスニング力を鍛える効果を期待して実践される方がとても多いですが、実はその効果はそれだけにとどまりません。
「ホントにそんなにたくさんの効果があるの?」
「あまりにたくさん効果があると言われると、逆にうさん臭く感じちゃうなぁ…」
と思われる方もいらっしゃるかもしれませんね。
しかし、これにはちゃんと根拠があります。
順にお伝えしていきますね。
リスニング
シャドーイングと同様、オーバーラッピングもリスニング対策にとても効果的な勉強法として有名です。
シャドーイングについて馴染みのない人は、「聞きながら音読をして、どうしてスピーキングじゃなくリスニングのトレーニングになるの?」と思われるかもしれませんね。
その疑問には、人がどのように言葉を聞き取っているかのメカニズムが関わってきます。
よく、シャドーイングを勧める人が「自分が知らない音は聞き取れない」と言うのもここに根拠があります。
人間は、言葉を受け取る時に脳で受け取っています。
「え?耳じゃないの?」と思うかもしれませんが、耳で受け取っているのは言葉ではなく「音」です。
耳で受け取った音を脳に持っていき、自分の知っている音と照合させて初めて「言葉」として機能します。
なので、例えば日本人がおちいりやすい「LとRを区別していない」「すべてラ行でカウントしている」という状態だとLをLとして、RをRとして認知出来ないという仕組みですね。
それこそ、ロボットの出てくるアニメが全部ガンダムに見えたりとか、女児向けアニメが全部プリキュアに見えたりとか…そんな風に、知っている人がみたら大きな違いがあるのに、知らないが故に同じに聞こえてしまうわけです。
(実際にガンダムが好きな友人に同じセリフを言ったら、スゴい勢いで訂正された経験があります笑)
そこで、実際にリスニングの音声に自分の発声を寄せていくことで、日本語には無い英語独自の発音を自ら発声して、聞き取った「音」を正確な英単語や言葉として認知出来るように脳を最適化させていく事が目的というわけですね。
こうしたリスニングやリスニング力が向上していくメカニズムについては、シャドーイングの記事で詳しく触れましたのでぜひ読んでみてください。
オーバーラッピングにも通じる強烈な内容が書いてありますよ。↓↓
スピーキング
オーバーラッピング法はリスニング音声を聞くだけではなく、実際に発話していくので発音力を養う事が出来ます。
またTOEICのリスニング音声はネイティブスピーカーの会話の中でもかなりキレイな発音で撮られているので、その音声を目指してマネしていくわけですから、非常に自然でキレイな発音に近づいていきます。
またリスニング音声が流れていく中で素早く意味を理解するトレーニングでもあるので、聞こえてくる英文の意味を文頭からそのままの語順で理解していく力も養っていく事が出来ます。
そしてその力を養うことは、英文の文章構築力を養う事にもなります。
オーバーラッピング法を通して、リスニング音声を聞き、文頭から発音していくペースで英語を英語のまま意味を理解していくうちに、英文の構造が感覚的にわかってくるようになります。
「英語らしい発音の習得」と「英文構築能力の向上」、この2つの側面からスピーキング力を大きく向上させると言えますね。
リーディング
「リスニングのトレーニングなのに、リーディングにも効果があるの?」
と、ちょっと不思議に思われるかもしれませんが、これも「英語を英語のまま理解する力」が関わってきます。
例えば、リーディング力を伸ばす勉強法のひとつとして音読が挙げられます。
↓
こうしたテキストを使った音読を実践してTOEICのリーディング力強化を図る英語コーチングスクールもあるくらいに、効果的な勉強法だという事がわかります。(参照)
これは、「音読するスピードで英文を理解していくことで、意味理解の正確さと読解スピードを養う」という効果を得るためと言えます。
音読しながら、そのスピードで英文を理解していく必要があるので、もちろん頭の中で日本語訳をしている時間や、まして※返り読みをしている余裕はないわけです。
というのも、オーバーラッピング自体が「リスニング音声に合わせて、スクリプトを見て音読する」という勉強法なので、そもそも「音読にリスニング要素を強くした勉強法」という側面が強いわけです。
また、自分のペースで実践できる音読よりも、リスニング音声が絶えず流れていってしまうので非常に高い強制力をもって、意味理解の正確性とスピード感を養うことが出来るという訳です。
「ちょっとハードルが高いんじゃないかな…?」
と思ってしまいがちですが、オーバーラッピングは性質上詰まりながら反復を重ねていく勉強法なので、いつの間にか慣れてしまって自然と出来るようになっていきますよ。
リスニング音声のスピードに合わせた高い強制力で、読解スピード、読解の正確さを同時に養うことで、リーディング力を飛躍的に上昇させる事が出来るという事ですね。
ライティング
スピーキングで少し触れた「英文の構築力の向上」ができる訳ですから、ライティングスキルも同時に養うことが出来ます。
リーディングでも触れた「英語を英語のまま理解する力」というのは、英語のルールで文章を構築する力にも密接に関わってくるわけですね。
さらに、英語のスペルや各アルファベット(LとR、THなど)の発音が結びついているので、スペルミスも少なくなります。
「あれ?これってLだっけ?Rだっけ?」「Sだっけ?THだっけ?」というような混乱が少なくなるわけですね。
「英文の構築力の向上」「スペルと発音の結びつきによるスペルミスの低減」
この二つの事から、ライティング力にもとても貢献すると言っていいでしょう。
英語の主要4スキルが結びついて、本質的な英語力になっていく感覚
さて、ここまでオーバーラッピングで伸ばせる英語力向上の効果についてお伝えしてきました。
そしてここで強調したいのがそれぞれの4スキル(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)が、独立して、ではなく、互いに結びついて作用しながら英語力が伸びていく、という点です。
例えば、「英語を英語のまま、文頭から理解していく」という力が伸びると、リーディング力だけではなくスピーキング力やリスニング力も養っていけるという事に触れましたね。
また、発音力が身につくことによって、スピーキング力やリスニング力だけでなく、「つづりを視覚だけでなく音で認識することが出来るようになる」ことによって、ライティング力にも結びついていきました。
このように、それぞれ独立していた4つのスキルが、オーバーラッピングを通して統合されていって「本質的な英語力になっていく感覚」を得ることが出来ます。
例えば、英語の長文を読むために、英単語、英文法のどちらかだけでは読めないですが、その2つを「英文解釈」に統合することで読めるようになっていきましたよね?
そんな感覚です。
このように、TOEICという試験にぶっ刺さりながらも、しっかりと本質的な英語力もしっかりと養っていっているという点が、このオーバーラッピングという勉強法の大きな魅力だと言えますね。
効果を倍増させて1段上のレベルに到達するためのたった3つのコツ

①発音はもちろん、声の強弱やイントネーション(抑揚)まで完コピする!
リスニングにおいて音声を正確に聞き取れるようになるためにも、まずは音声を完璧にモノマネする気持ちで挑むと効果的です。
特に日本人が苦手としやすいL、R、THの発音は、多少やりすぎくらいに強調して発音してあげるとより効果的ですよ。
余裕が出てきたら「音の連結」も意識出来るようになってくるかと思います。
リスニング音声と同じくらい自然に音の連結が自分の口から発話出来るようになっていけば、耳も口も日本人英語学習者のレベルからグンと準ネイティブに近づいていって、TOEICの勉強のはかどり方がガラリと変わってきますよ。
そして、発音と同じくらい大切なのがイントネーションです。
「え?発音と同じくらい?」
と思うかもしれませんが、英語独自のリズムが身につくと、かなりリスニングが楽になります。
どこで文章が切れるのか、どこまで言い切るのか、どこまでを一気に言うのか…そのパターンに慣れるとかなり冷静にリスニングを解けるようになってきます。
またスピーキングについても、ネイティブスピーカーに対してイントネーションが近づくとかなり聞き取りやすくなるようです。
日本人目線から見ても、外国人の話す日本語を聞いている時に、発音と同じくらいイントネーションが伝わりやすさに影響を及ぼしているのがわかるかと思います。
なんなら、日本人でも滑舌が良くない人の言葉もなんとなく聞き取れるのは、日本語のリズムやイントネーションで文章を推測出来るからですね。
以上のことから、リスニング音声を完コピレベルで行うことは、リスニング力、発音力、スピーキング力を1段上のレベルまで引き上げるカギになっていると言えるでしょう。
②英語を文頭から意味を理解していく感覚を意識
TOEICでリスニングのスコアを上げていくには、リスニング音声が流れるスピードで英文を文頭から理解していく力を養うのが非常に効果的です。
音声に被せて自分の発音を矯正しながら、同時に「音読をするスピードで、英語を英語のままに理解していく感覚を養う意識」で実践すると非常に効果的です。
「え?音読ってリーディング力を鍛えるトレーニングでしょ?」
と思われるかもしれませんが、考えてみてください。
リスニングテスト中は、音声が絶えず流れる中1回で内容を把握する必要があります。
そんな中、流れてきた英文を日本語に直して意味をとらえている時間の余裕はないはずです。
だからこそ、英語を英語のまま文頭から理解していく力を養うことが、TOEICリスニングスコアの飛躍的な上昇に繋がるという訳ですね。
③どこに効いているか、どんな風に効いているかを意識にあげる
筋トレなどではよく「今○○筋にとても負荷がかかっているので、そこを意識してくださ~~い!」という感じの言葉を聞くかと思います。
これにはハッキリした理由があって、鍛えたい部分を意識してトレーニングをすると、何も意識せずにトレーニングするよりも成果に歴然とした差が出てくるんですね。
これは英語学習も同じことが言えます。
しかし、筋トレやスポーツの世界では当たり前のように認知されている「意識」という手法も、英語学習ではあまり広くは知れ渡ってはいません。
「実際に身体を動かす筋トレやスポーツと、頭を使う英語学習とは違うんじゃないの?」
と、思うかもしれませんが、筋トレも英語学習も同じ「脳」によって意識に上げられて、結果成果に差が出来るので同様の効果が期待できます。
それについての詳しいメカニズムもシャドーイングの記事で詳しくお伝えしているのでぜひ参考にしてください。↓
以上の事から、オーバーラッピングを実践する時に、「L、Rの発音が矯正されている」「英文を頭から理解しようとするクセが付き始めている」というように意識をするだけで、非常に有意義なトレーニングにする事が可能です。
「今自分が何を鍛えているのか」を意識して実践してみましょう。
【最後に】
この記事では、TOEICのリスニング対策について以下の点についてお伝えしてきました。
・スクリプトを見ながら行えることによって、TOEIC対策に刺さりまくる
・英語の4スキルが結びつくことで、本質的な英語力が身についていく
・効果を倍増させるために、完コピを目指す、日本語に訳さず音声のスピードで理解していく、トレーニングの効果について意識する
なぜなら、ひとくちにオーバーラッピングと言っても、ここまで意識して行っている人はまれだからです。
あなたは既に、オーバーラッピングで英語力を上げようとしているほとんどの人よりも、より効率的にトレーニングする方法を知っています。
あとは、実践するのみです。
ぜひ実践していただいて、あなたの英語学習を加速させてください!
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